自動車部品メーカー様による 検具レス部品検査の実現
課題
ノギスなどの手作業による寸法測定に頼っていた製造現場では、測定者のスキルによるばらつきや、感覚的な判断が混じることで生じる精度の差、作業時間の長さが課題となっています。単一レーザー式である多関節アーム型3Dスキャナでは、計測に時間がかかり、製品の持ち運びやセッティングにも大きな労力が必要です。また、計測器によっては光沢のある対象物の計測が難しい場合もあります。3Dスキャナ「HandySCAN BLACK|Elite」の導入により、従来の現場測定に関する課題を解決し、作業の効率化に貢献します。
導入の決め手となる「スピードと柔軟性」
ポータブル型であるHandySCAN BLACK|Eliteは、複数のクロスラインレーザーにより高速スキャンが可能であるだけでなく、光沢のある金型製品にも対応可能です。また、ハードケース1つで現場へ持ち運べる手軽さも特徴です。大型三次元計測器では設置環境やコスト面でのハードルが高い中、携帯性とコストパフォーマンスに優れたHandySCAN BLACK|Eliteが、製造現場における作業の効率化を実現します。
HandySCAN BLACK|Eliteでできること
HandySCAN BLACK|Eliteで計測した高精度のデータは、専用ソフトを用いることでリバースエンジニアリングや検査に活用できます。
① 金型のリバースエンジニアリング
既に金型のない製品でも、製品をスキャンし、CADデータへ変換することで、新たに金型を製作し、製品を生産することが可能です。製品が手元にない場合でも、スキャナを現地に持ち込み現物を計測する運用が可能です。
② 金型の合わせ(可動側・固定側)の評価
金型の可動側と固定側の合わせのズレやクリアランスを3Dデータと照合し可視化できます。現物での確認が難しい場合も、スキャンすることで細部まで確認が可能になります。
③ 外観検査・形状検証
金型を修正したり成形条件を変更した際には、製品の変形や寸法を3Dデータと照合しながら評価します。3Dデータをカラーマップで表示することで、短時間での視覚的な確認が可能です。これにより、どの部分で変形や誤差が生じているか、また変形の起点がどこかを明確に把握でき、製品精度の向上に役立てることができます。
導入による変化と効果
・場所を選ばない計測が可能に
ハードケース1つで持ち運び可能なため、現場計測や出張計測が簡単にできます。対象物を持ち運ぶ必要がなくなり、実物が手元にない場合でも、現地にスキャナを持ち込んで計測する運用が可能になります。
・検査工数の大幅削減
従来と比較し、計測時間を85~90%程度短縮することができます。アーム式スキャナでは対象物の向きや角度を調整しながら複数回に分けて行っていた作業が、HandySCAN BLACK|Eliteでは短時間のスキャンで完結できます。
・レスポンスの高速化
従来はスキャン依頼を受けてから結果が出るまでに数日を要していたものが、HandySCAN BLACK|Eliteの導入により、最短でその日のうちにフィードバックが可能になります。結果として、生産準備の工程全体を1〜2日短縮できます。
・省人化・作業負担軽減
重量物を台に載せて測る必要がなくなり、床に置いたままスキャンすることが可能です。これにより、台に載せるために2人作業が必須だったところが1人で完結するようになり、現場負荷の軽減が可能になります。
・検具の削減と省スペース化
以前は検査治具(検具)を都度作製していましたが、スキャンで代用できるようになり、製品に応じた専用のゲージの新規作製や修正の必要性が低減しました。それに伴いブロックなどの付属部品も減り、製品の置き場所も省スペース化できます。
総合的な効果として、HandySCAN BLACK|Elite導入により、年間約1,600時間の検査工程工数を削減できます。これは作業者およそ1人分に相当する大きな成果となります。測定時間の短縮、作業の効率化、現場負担の軽減に加え、将来的な自動化への基盤構築としても、高い有用性を発揮します。
さらなる業務効率化へ:ロボットとの連携、自動化
属人化の解消に向けて、スキャナをロボットに搭載し、無人で計測作業を行うなど、完全自動化への対応も可能です。例えば「オートメ―ションキット」を活用すれば、お手持ちのスキャナを設備に組み込んでシステム化することができる他、ブースパッケージ化された「CUBE-R」や柔軟なカスタマイズが可能な「MetraSCAN-R」により、自社の検査工程に最適化された検査システムを構築し、効率的な品質管理と業務効率の大幅な向上が期待できます。