
- F6 SMART
- Galaxy-Eye Modeler
旭有機材株式会社 様
管材システム事業部
管材テクニカルサービス部
テクニカルリサーチグループ 副参事
環境計量士(濃度)
貴島 純次 氏
製造現場のデジタル化へ
旭有機材株式会社は、配管機器や樹脂製品、水処理に関する技術を中心に、さまざまな産業分野で使われる製品やサービスを提供している。今回インタビューを行った管材システム事業部では、製鉄・化学・半導体工場、農業用水の設備、水族館などに向けて樹脂製バルブを展開し、技術サポートやメンテナンスを通じて現場での課題解決にも取り組んでいる。
デジタル化を推進する同社は、2018年1月にGalaxy-Eye Modelerを導入した。さらなる業務の最適化を図り、2023年3月にはF6 SMARTも導入。現在も生産性向上に向け、製造現場のデータの見える化を実現すべく、さまざまな取り組みを進めている。
導入背景
少人数かつ短期間での現地調査を目指して
エンジニアリング部門で請け負っている配管部材の工事をする場合、現地調査が必要になる。「海外の案件だと特に人材や時間の確保が難しくなる。急遽重要な顧客案件ができたときに取りこぼすことがないよう、現地調査への3Dスキャナ導入を進めることになった」と、3Dデータ活用を業務に取り入れることになった当時について、管材テクニカルサービス部 テクニカルリサーチGr 貴島氏は振り返る。
3Dスキャナを導入したことで、少人数かつ短期間で効率的に現地調査の実施が可能となった。続いてGalaxy-Eye Modeler導入の経緯について貴島氏は「現場の寸法計測をより正確かつ迅速に行うために、モデリングソフトの導入検討に至った。配管をモデリングし、そこからデジタル採寸することで、点群から計測するよりスピーディに進められると考えた」と語った。
また、Galaxy-Eye Modeler導入の時期は、同社エンジニアリング部門で製図を2DCADから3DCADへ移行するタイミングと重なった。「設計段階からデジタルで取り組むことにより、その後の工事のシミュレーションや据付の干渉チェックなど、全ての工程をスムーズに行い効率化が図れるという構想が当初からあった」と貴島氏。

配管密集エリアもハンディ型スキャナで効率的な計測を
その後、計測を進める中で、現場によっては、タンクとその架台下に配管が密集しており、据え置き型3Dスキャナの三脚を一番低くして計測しても取り切れない箇所があった。貴島氏によると「その際、「ハンディタイプのスキャナがあれば、もう少し点群を補足できるのでは」という声が現場から上がり、F6 SMARTの導入を検討するきっかけとなった」という。
また「据え置き型のスキャナは広い空間の計測には非常に効率的だが、設備の裏側など錯綜した場所では、何度も位置や高さを変えて計測する必要がある。同じ場所を繰り返しスキャンすることで、ノイズやデータ結合時のズレができてしまうという課題が出てきていた」(貴島氏)とのことだ。
そこで同社は『F6 SMART』を導入し、据え置き型とハンディ型のスキャナを使い分けることで、満遍なく網羅的な現場計測を実現した。
選定理由
サポート対応の良さが一番の決め手
貴島氏は、『F6 SMART』と『Galaxy-Eye Modeler』の選定理由として、以下のポイントを挙げた。
① マーカーレスで計測できる【F6 SMART】
② トラッカーを必要としない【F6 SMART】
③ 配管のモデリング機能【Galaxy-Eye Modeler】
④ 既存設備との干渉確認機能【Galaxy-Eye Modeler】
⑤ 質問に対するレスポンスの良さ【F6 SMART・Galaxy-Eye Modeler】
選定理由⑤について、貴島氏は「選定の一番の決め手となったのは、サポート対応の良さだった」と振り返った。「導入前にデモライセンスでソフトを使用した時、様々な質問に対してのレスポンスが非常に良かった。マニュアルを見ればわかるようなことを聞いても、丁寧にメールでやり方を教えてくれる。些細なことで問い合わせをしても、すぐレスポンスが返ってきて、うまくいかない原因までも教えていただいた。それが良かった」(貴島氏)とのこと。
導入後の変化
現場に行かずにデスク上で正確な計測・打ち合わせを実現
導入後の変化について貴島氏は「打ち合わせ時に写真を提示するより、点群やパノラマビューを用いて実際のデータを見ながらの方が、お客様とやり取りがしやすくなった」と語った。従来、最初に現場に足を運び、現地説明の場を設ける必要があったが「Galaxy-Eye Modeler導入後はデスク上でやり取りや打ち合わせができ、非常に助かっている」(貴島氏)とのこと。
従来の現場計測では、どうしても現場の配管設備に触れなければならない状況があった。また、補修工事や更新工事の場合、工場が稼働中で、むやみに設備に近寄れないということも多々あったが「3Dレーザースキャナで非接触の計測をした後、Galaxy-Eye Modelerを用いてデジタル計測・デジタル採寸することで、危険な現場で直接作業をせず、更新計画や工事の概算見積もりを立てることができるようになった」(貴島氏)という。
また、お客様の中には工場の稼働を止める時間を最小限に抑えるため、既存の配管を残したまま、その横に新規の配管を設置し、短期間で切り替えを行うケースがあるという。その際「施工する上でどのくらいスペースが空くのか」「ここには配管を通すことができるか」といった確認が必要となるが、Galaxy-Eye Modelerを使えば、既設配管の3Dデータに新設配管の設計データを重ね、干渉の有無や施工内容を事前に確認できるとのこと。貴島氏は「フランジでの接続やバルブを使った分岐など、さまざまなパターンをソフト上で検討・提案できるため、計画段階から作業効率が大きく向上すると感じている」と語った。

今後の展望
未来のデータ管理を見据え、さらなるコンテンツ活用と展開へ
F6 SMARTの今後の活用について、貴島氏は「会社の携帯で写真を撮るのと同じ感覚で、ちょっとした現場にも持ち込み計測できるようになったら良いと思っている」と語った。同社の工場では、DXの取り組みなど様々な改革をしている最中だということで「お客様の工場での計測が最初の目的だったが、社内打ち合わせや自社工場の設備の保全など、社内でも便利なツールとして使っていってもらいたい」と貴島氏。
同社はGalaxy-Eye Modelerのシミュレーション以外の機能ついても今後活用を進めていく意向だ。貴島氏は「例えば、コメント機能でアイソメ図のPDFファイルなどをリンクさせ、お客様への説明時にすぐに該当するデータを提示できるようにしたいと考えている。配管のラインを温度条件や施工年数、管種別にグルーピングしてお客様に簡単に示すことができたら有用だ」と続けた。
そこで次のステップとして考えているのが、Galaxy-Eye Connectの導入だという。「今はGalaxy-Eye Modelerのコメント機能の活用を進めているところだが、Galaxy-Eye Connectでは一連の情報をすべて関連付けられる。さらなる作業の効率化を目指していく上でGalaxy-Eye Connectは我々の将来の理想形だと思っている」(貴島氏)と期待を寄せている。

さらに今後について貴島氏は「3Dスキャナを持っている私たちの部署が、現在点群処理ソフトの管理部署となっている。私たちが起点となって、各工場や別の事業部にも展開していきたいと思っている。」と意欲的だ。貴島氏によると「管材テクニカルサービス部では、お客様の包括配管管理支援サービス(仮称)を展開していこうと考えている」とのこと。もともとエンジニアリング部の配管サービスグループが発端の同部は、製品を納めるだけではなく、設計や製作工事、診断という配管のライフサイクルを回す、保全計画を支援するサービス提供に取り組んでいる。

「当初は保全計画で担当者が抱える悩みに対し、解決のサポートをするところから始めた。その中で工場にある配管の健康状態や劣化のリスクをリスト化し、診断や工事の計画・提案をしていた。実際に診断・更新工事したいというお客様に、その診断結果・更新情報も管理データに反映し、アップデートしていくことで、次の保全へとつなげるサイクルを確立しようとしている。これを実現するためには、配管だけではなく、配管設備、工場設備などいろいろな情報を一元管理するということが不可欠になってくる」(貴島氏)と続けた。
そして貴島氏は「現在はExcelで配管リストを作成し、お客様の図面のデータと紐付けをして運用しているが、そこにGalaxy-Eye Modelerによる「見える化」、Galaxy-Eye Connectによる「情報の一元管理」を組み合わせることで、我々がやろうとしているサービスの理想像・目標に近づくことができると確信している」と話を結んだ。
代表者:代表取締役社長執行役員 CEO 中野 賀津也
所在地:延岡本社 宮崎県延岡市中の瀬町2丁目5955番地
設立:1945年3月12日
資本金:50億10万円
従業員数:1,787名 (2025年3月末現在・連結)