
- F6 SMART
- FARO Focus
- FARO Orbis
- Galaxy-Eye Modeler
株式会社共同設計 様
取締役 統括部長 柴田 敏男 氏(写真左)
設計部 部長 神田 信也 氏(写真右)
設計部 加藤 達也 氏(写真中央)
3Dデータの活用で業務を効率化
株式会社共同設計は、機械装置・プラント配管・塔槽類など、多岐にわたる工業設計製図業務を手掛ける。1979年の設立以来、大手化学メーカーをはじめとする多くの製造業のお客様に向けて設計専門のサービスを提供。近年では、より精緻で効率的な設計体制を目指し、3D CADや点群データ処理などのデジタル技術を積極的に導入している。
同社は2023年11月にFARO Focus Premium150、F6 SMART、Galaxy-Eye Modelerを導入し、現場での作業短縮と効率化に取り組んでいる。現場作業の安全性という観点もふまえて2024年8月にFARO Orbisを導入。3D計測データの活用で、さらなる業務の効率化を目指す。
導入背景
お客様からの要望を受けて導入が実現
「機器の導入には費用面や体制整備など、多方面への検討が必要となり、特に費用面では、それなりに大きな案件に使用する場合でないと購入が難しい状況だった。そんなとき客先から、3Dスキャナで計測したデータからの図面作成依頼が来たことに背中を押され、導入が叶った」と、FARO Focus導入当時の状況について、取締役 統括部長 柴田敏男氏は振り返った。
同社はFARO Focusと同時にF6 SMARTとGalaxy-Eye Modelerも導入している。F6 SMART導入について柴田氏は「Focusだと広い範囲を計測できるが、プラント工場は狭い場所も多い。狭隘部の素早い計測に有効だということで導入を決めた」と語る。またGalaxy-Eye Modelerについては「図面を書いて、製作図面を提供する仕事を請けているため、3Dスキャナで現場を計測したら、点群処理し、以前から使用している3DCADソフトで図面を書いてお客様に提供するという一連の流れで行うことになる。そこで点群処理ソフトであるGalaxy-Eye Modelerの同時購入は自然な流れだった」とのこと。

過酷な計測からの脱却! FARO Orbisで計測時間の短縮を図る
FARO Orbisの導入前、同社では劣悪な環境での過酷な計測があったという。当時について、設計部 部長 神田信也氏は次のように述べた。「高さ2m、幅1.5m程の狭い地下道が数百メートル続いており、その空間に配管が連なっていた。足元は水浸しで、常に中腰状態での移動体制がつらく、暑さもあり熱中症の寸前だったと思う」。そんな折に知ったのがFARO Orbisだった。「これなら計測の負担がかなり減らせると思った」と神田氏。
さらに神田氏は「客先では計測可能な時間も限られているので、計測のタイミングに気を使っていたが、FARO Orbisなら歩きながら撮れるため時間短縮も見込める。精度も問題なかったので、社内で相談し、導入に踏み切った」と続けた。
選定理由
相談のしやすさや導入後のケアなどを見据えた購入先選定
客先からの依頼もあり3Dスキャナ導入に踏み切った同社だが、FARO Focusの導入について柴田氏は「周囲の協力会社が同じスキャナを使用していたことが大きかった」と語る。「最終的なエンドユーザーが同じであるため、データの共通化ができたらと考えた。また、エンドユーザーの担当者から製品への信頼の保証ももらっていたことが一番の決め手だった」と柴田氏。周りの環境に合わせた結果、行き着いた形であるようだ。
F6の導入の決め手については「機器ごとに異なる販売先から購入し、複数のメーカーと付き合っていくより、相談のしやすさや導入後のケアなどを見据え、購入先は一社に絞りたいと思っていた」とのこと。複数のソリューション提案が可能な富士テクニカルリサーチだからこそ選んでいただけたようだ。
具体的な活用方法
点群データを平面図のように活用し、2D図面作成へ
3Dスキャナで計測したデータの活用方法について、設計部 加藤氏は次のように語った。「FARO Focusで計測した点群データの合成は基本的にFARO Focus付属ソフトで行い、それをGalaxy-Eye Modelerにインポートしている。合成後のデータの処理として、Galaxy-Eye Modelerで不要な点群削除やノイズ除去などの機能を使用している。

最近はFARO FocusとFARO Orbisを併用して使うことがあるので、 それぞれのデータをGalaxy-Eye Modeler上で合成することもある」。さらに「もう1つの使い方として、工場内の配置図作成時に、Galaxy-Eye Modelerで点群データをXY表示し平面図のような状態にして画像として取得する。その画像を2D図面を作成するソフトに入れて実寸大にし、なぞって配置図を書いている」と加藤氏。
FARO Orbisについて神田氏は「最近はFARO Focusで一度計測した後に、もう一度FARO Orbisを持って、現場でお客様と話しながら歩くということをしている。正確に現場のデータを持ち帰ることができるので、その後再確認のために現場へ行かなくても、データを見ながら確認ができる」と語った。そして「実際に現場で様々な場面に遭遇しているからこそ、こんな使い方をすればもっと有効利用できるのではないかということに気づくことができると思っている」と続けた。
FARO FocusとFARO Orbisの使い分けについて、神田氏は「配管などが細かく密になっているところは精度が必要になるためFARO Focus、あまり精度が必要ないところはFARO Orbis、というような併用をし、時間短縮に努めている」と語る。「メリハリを付けたやり方で、それぞれのスキャナを使い分けながら、なるべく時間短縮と効率の良さを心掛け、お客さんの要望に応えられるような品質向上を意識している」とのことだ。
また、それぞれのスキャナの併用について柴田氏も「近場の計測・歩いて行う計測・定点で精度の良い計測と、3つの方法があるので、それぞれをうまく使い、融合させて、お客様のニーズに応えられる形で進めることができるようになった」と語る。
導入後の変化
広範囲の計測と作業の時短、スキャナの使い分けでさらなる効率化を実現
従来すべて手で測っていた現場計測が、3Dスキャナを用いることで計測できる範囲が広くなった。「今までは工場の一角だけを計測していたが、導入してからは工場全体が計測できるようになった。例えば工場内の消火配管の更新には、「包含円」と呼ばれる消火範囲を全て満たさないといけないが、FARO FocusとFARO Orbisの併用で、工場の半分以上をすばやく計測することができた。従来通りスケッチすると2、3ヶ月かかるところを、2週間程度で終えることができた」と神田氏。

その他にも「お客様の費用算出や消防への申請など期限が迫っている状況で依頼があり、3Dスキャナを使えば間に合いそうだと引き受けることになった。結果的に期限内に収めることができた。そのときはかなりのスピード感で対応できたと思っている」と振り返った。従来なら半年かかるところを3ヶ月ほどで終えることができたという。
今後の展望
3D計測データの活用で、未来のエンジニアを育てていく可能性が広がってきた

今後について神田氏は「手計測の置き換えとしてF6 SMARTを活用していきたい」と語る。設置や操作、客先への通告など、多少の前準備が必要なFARO Focusと比べ、F6 SMARTなら現場に行ってすぐに計測することができる。「スケッチでの手計測を減らし、3D計測データをもとに2次元化する方法に移行したいと考えている。そのほうがより正確な図面を書けるし、3次元データをもとにGalaxy-Eye Modelerを用いて作成した平面図の画像を活用すれば、3次元のデータになじみのない人でも図面を書くことができる。データ処理は担当者が担い、必要な画像だけを作図者に提供することで、作業がより早くなる」と神田氏。
Galaxy-Eye Modelerの今後の活用方法について柴田氏は「今は合成やノイズ処理で主に使用しているため、他の機能ももっと使いこなしていけるようにしたい。例えば最近配管の撤去をするための計測をしているところで、そこで新規配管作成機能を使ってみたいと思っている。それを使って物量出しができたら、さらに時間短縮ができて効率的になると思っている」と語った。
また今後の展望として、教育資料としての活用のためにデータを蓄積していきたいと考えているという。「例えばお客さんの要望に対し、実際にルーティング(配管引き回し)するにはどうしたらよいか、点群データを用いて例題を出題できる。将来的に3D計測データを取り入れた仕事が増えていく予定なので、内部スキルアップのために有効だと考えている。作業の際に現場に行かずに机上で確認できるようになったのと同様に、教育も現場に行かずにできるようになるのではないかと思っている。これまで現場に行かないと説明がなかなか伝わらなかったところも、ソフトの活用で時間短縮が可能となった。」と柴田氏。そして「3D計測データの活用により、エンジニアを育てていく可能性が広がってきたと感じている」と未来の可能性に期待を込めた。
代表者:代表取締役社長 甲斐 初幸
所在地:〒882-0024 宮崎県延岡市大武町39番地95
設立:1979年11月
資本金:1,000万円
従業員数:正社員27名・専属下請21名:計48名 (2025年8月20日現在)